本機色校正・平台色校正・プルーフジェットの違いとは?本紙色校正の種類と移り変わりについて。

Writer:Koketsu (23.05.09)

印刷物の作成において「色校正」という印刷物の色を確認していただく工程があります。案件によっては簡易的なチェックで済ませてしまうケースもありますが、実際の印刷物に使用する紙(本紙)を使った「本紙色校正」で色を確認していただく案件も多くあります。この本紙色校正における3つ方法(本機色校正・平台色校正・プルーフジェット)をご紹介します。

本機校正とは?

完成品の印刷物と同じオフセット印刷機で印刷する方法です。本紙色校正の中で、もっとも高い再現性があります。大量生産を目的とする機械を使いますから、非常にロスが多いのが欠点です。具体的にはオフセット印刷機で刷るということは、専用の「版」が必要です。版とはアルミでできており、使う色数の分だけこの版が必要です。各色のユニットにインクを投入し、色を調整するのに何度か試し刷りを行います。試し刷りであっても一度機械を稼働させると1回ごとに100枚ほどが印刷されてしまいます。カラー印刷なら4色。何度も試し刷りをしたとなれば…文字通り大量の紙を使うことになります。こうして出来上がった「本紙色校正」はクライアントの確認と本印刷時の刷見本に使われるくらいなので必要なのは数部です。ということは本紙色校正で刷られた大半は破棄されるということです。

メリット
  • 色の再現性がもっとも高い。
デメリット
  • 1色ごとに版が必要。
  • 大量の紙を消費する。

平台色校正とは?

本紙を使った色校正において現在の主流となっている方法です。専用の平台校正機を使用してオフセット印刷を行うのですが、印刷機(本機)とは構造がまるで異なります。印刷機は紙が移動して印刷するのに対して、平台校正機は天板の上に乗せられた紙の上に機械が動いて1枚ずつ印刷していくイメージです。平台色校正も印刷機と同様「版」が必要です。よってそれぞれの色調整と試し刷りも必要ですが、一度動かしてしまうと大量に印刷されてしまうということは無くなったので紙の消費を大幅に削減することができました。ただ、構造の違いから、印刷機の色再現と同じ再現をできない部分があります。そこで職人さんによって色を調整し、そのギャップを埋めるのですが、どうしても人の手によるものなので品質の維持に課題を抱えています。また、平台色校正機を製造している大手メーカーが製造、メンテナンスサービスを終了しており、機械の故障がそのまま規模の縮小につながってしまうのが問題です。

メリット
  • 紙の消費を大幅に減らせる。
デメリット
  • 1色ごとに版が必要。
  • 色の品質維持が難しい。
  • メーカーが製造・メンテナンスサービスを終了している。

プルーフジェットとは?

そして新たに登場したのが「プルーフジェット」です。このプルーフジェットとはインクジェット方式を使った本紙色校正です。以前はインクジェットに対応する用紙でなければ印刷することができませんでしたが、技術の発展により、油性オフセット印刷の紙に対応できるようになり、本紙色校正が可能になりました。デジタルデータを使って色を管理しているので、色再現が安定していることと、上記2つの方法と大きく異なる点として「版」が必要ないことが特徴です。版が要らないということは、アルミ版がなくなるだけではなく、アルミ版を製版する工程で使われる現像液や定着液などの廃液をも無くすことができます。また、1枚から印刷可能なので小ロット対応もでき、色出しに必要な用紙もほとんど必要としないので、コスト面だけでなく環境面にも大きなメリットがあります。現在の課題として「特色」が表現できません。特色を使った案件ではこの方法は使えないという点で制限がかかってしまいます。次の進化に期待します。

印刷機の画像
メリット
  • デジタルカラーマッチングにより安定した色再現ができる。
  • 「アルミ版」が要らない。(廃液も無くせる)
  • 1枚から印刷可能なので無駄な紙を減らし、小ロット対応ができる。
デメリット
  • 特色が対応できない。
  • 導入している会社が少ない。

当社も「プルーフジェット」を導入しています。

持続可能な社会が求められる昨今、大量の紙やインクを使う我々印刷業界では、どんなことができるだろうか?を常に考えてきました。今までの慣習にとらわれない新たな技術とアイデアを駆使し、あらゆる角度から実現できる可能性を探している中、本紙を使った色校正出力時の環境負荷を減らすことができる次世代型デジタル色校正機「プルーフジェット」と出会い、東京支店にて導入するに至りました。
「早くて無駄なく美しく仕上がる本紙色校正」をお求めの方は、是非お問合せください。

コラム執筆中

アイビーネットでは、会社案内やパンフレットに関するコラムを随時執筆中です。

コラム カテゴリ