ビジネスと人権、人権デューデリジェンス(人権DD)

Writer:Imada (22.06.30)

弊社関連会社の伊藤美藝社製版所では、印刷関連の認証制度を2022年6月に取得しました。取得時に「中核的労働要求事項に基づく方針声明」を表明しています。

中核的労働基準とは、労働に関する最低限の基準を定めたものであり、「結社の自由・団体交渉権の承認」「強制労働の禁止」「児童労働の禁止」「差別の撤廃」の4分野があります。

今回、上記にある最低限の基準というのが少し気になり調べてみると「人権」というキーワードが浮かんできました。また最近各メディアやセミナー等のお題で「ビジネスと人権」とか「人権デューデリジェンス(人権DD)」というテーマが目立つようになってきていると感じます。

ということで今回は、「ビジネスと人権」と「人権デューデリジェンス(人権DD)」について少し調べてみました。

経済省HP等では「人権デュー・ディリジェンス」と表記

ビジネスと人権

以前よりサステナビリティ(ESG、SDGs、CSR)をテーマにコラムを書いてきましたが、ここ2〜3年で急激に注目度が高まっています。日本では環境の側面で語られることが多いのですが、海外では人権の方がより注目度が高いようです。

サステナビリティ(ESG、SDGs、CSR)の中でも重要な要素のひとつ「人権」。

SDGsを例にとりますが、17のゴールの多くが「人」に関わる内容が多く、「人権の尊重」無くしてゴールの達成はできなさそうです。言い換えると、SDGsは人々が持つさまざまな権利(人権)が保障されることを目指しているのだと気づきます。

視点を私達に戻すと、私達の普段のお仕事だけを考えても、「お客さま」「自社の従業員」「仕入れ先・協力会社」「その先の資材等を製造している会社」など、多くの組織や人が繋がっています(サプライチェーン)。

企業が人権についてどう取り組みを進めるのか(手探り)

人権宣言を明示する

中核的労働基準が求める4つのテーマに対しての宣言を盛り込みつつ、働き方改革やダイバーシティなど今後ますます重要になるテーマへの取り組み姿勢を明示します。

人権デューデリジェンス(人権DD)をやってみる

「デューデリジェンス(Due Diligence)」とは、本来法律用語で「相当な注意義務」を意味しています。
例えば、M&Aを行う際に買収後のリスクを検出するために行う監査のことをデューデリジェンスといいます。

「企業が自社や取引先の企業において、どのような人権に関わるリスクが発生しているかを特定し、リスクに対し予防や軽減策といった措置をおこなうこと」

社内だけでなく、サプライチェーンの人権問題も対象となることも重要なポイントです。

国連「ビジネスと人権に関する指導原則」

国連の「ビジネスと人権に関する指導原則」には、人権DDの流れとして4つのプロセスを規定しています。

1.人権の影響評価
  • 新しい事業や取引を行う場合、事前に評価を行う。
  • その後定期的に人権侵害が起きていないかを評価する。
  • 評価とは、すべてのステークホルダー(お客さま、取引先、社員、株主、社会)に関わる(顕在・潜在的な)人権リスクの評価を定期的に行う。
2.人権リスクの軽減活動
  • 人権に対する負の影響の停止、防止、軽減に向けた改善活動を行う。
  • 評価の結果を責任と予算を伴った形で、企業の意思決定を行い、事業戦略に組み込む。
3.進捗の確認(追跡評価)
  • 改善活動の進捗状況のチェックとさらなる人権リスク軽減に向けた改善の推進を行う。
4.報告・開示
  • すべてのステークホルダーに対し進捗の報告・開示を行う。

今年の3月に経済産業省にてガイドライン検討会が始まっています。議事録を追っていくと、ガイドラインの内容が見えてきそうです。

調べてみて

当社では人権の重要性を社内に浸透させつつ、「できるところから少しずつ取り組みを進める」「開示出来る所から開示する」という考えで進めていきます。「すべてが完璧で無いと開示出来ない」という考えだといつまで経っても進まないので少しずつ前進します。

当社では、CSR、SDGsの情報発信のお手伝いをさせていただいています。

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どのような情報を発信したら良いかわからない、どのように発信したら良いかなど、現在の状況をヒアリングさせていただき、最適な発信方法をご提案させていただきます。

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